はじめに
日本ではちょっと前から言われていたCOVID-19と嗅覚喪失(Smell Loss)と味覚喪失(Taste Loss)の関係性に関してですが、論文での報告がアメリカのカリフォルニア大学サンディエゴ校から出てきました。COVID-19における嗅覚・味覚喪失の時期と関連性を理解することは、スクリーニングと症例の早期隔離を容易にすることにつながる可能性が重要な論文だと思われます。
論文に関して
インフルエンザ様の症状を示し、COVID-19の検査を受けた1480人の患者のうち、COVID-19陽性患者102人中59人(58%)、COVID-19陰性の1378人中203人(15%)を対象としており、COVID-19の検査を受けた成人被験者を対象に、インターネットを利用したプラットフォームを用いて行われました。
この研究では嗅覚と味覚の喪失は、COVID-19陽性のそれぞれ68%(40/59)と71%(42/59)で報告されており、統計学的にも嗅覚と味覚の障害はCOVID-19陽性と関連している様です(anosmia: adjusted odds ratio [aOR] 10.9, 95%CI:5.08‐23.5; ageusia: aOR 10.2 95%CI:4.74‐22.1)。また、COVID-19に関連する嗅覚喪失患者の74%(28/38)は、嗅覚喪失の解消と臨床的な病気の改善を報告されています。
最後に
この論文からも、嗅覚と味覚の喪失はCOVID-19における大切な臨床症状の様です。また、ほとんどの患者では他の疾患関連症状の解消と並行して数週間以内に化学感覚機能が回復するとのことです。
参考文献
Yan, CH, Faraji, F, Prajapati, DP, Boone, CE, DeConde, AS. Association of chemosensory dysfunction and COVID‐19 in patients presenting with influenza‐like symptoms. Int Forum Allergy Rhinol. 2020; 10: 806– 813.
感覚のふしぎシリーズ第3回 嗅覚と味覚のしくみ 株式会社ニュートンプレス

感染症の世界史 (角川ソフィア文庫) KADOKAWA

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