今更ながらの遠隔連携診療料に関して

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Photo by National Cancer Institute on Unsplash

はじめに

COVID-19の流行もあり、最近は遠隔診療の中でもいわゆる「D to P」の遠隔診療に注目を集めましたが、令和2年度の診療報酬改定で、いわゆる「D to P with D」の遠隔診療に関して診療報酬が新しく創設されました。あまり、しっかりとここに関して解説しているところがなかったので今回はそれに関して書きたいと思います。

遠隔連携診療料創設にまつわること

オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会第3回の資料でも、 「D to P with D」に関する資料が出されました。この主目的としては、遠隔手術に関するものでしたが、

その他、希少性が高い疾患等に係る専門医が遠隔地にしかいない場合等において、D to P with
Dの形態で診察・診断等を行うことも想定され、その場合の要件も併せて検討する必要がある。

オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会 第3回 資料3

とされて、資料の後半部分では遠隔連携診療料に繋がる内容となっています。

そ希少疾患以外にも、一例を出すと東北大学病院のてんかん科では自由診療として、てんかんに関する「てんかんオンライン・セカンドオピニオン」等がおこなわれたりと、てんかん分野での遠隔診療に関して手探りの状況でその方法が模索されていた。

B005-11 遠隔連携診療料

500点の診療報酬が付いていますが、色々と注や通知が付いています。

注としては「別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において、対面診療を 行っている入院中の患者以外の患者であって、別に厚生労働大臣が定めるものに対 して、診断を目的として、当該施設基準を満たす難病又はてんかんに関する専門的 な診療を行っている保険医療機関の医師と情報通信機器を用いて連携して診療を行 った場合に、当該診断の確定までの間に3月に1回に限り算定する。」とあり、外来患者での3ヶ月に1回の算定となっている。

通知でも算定要件が細かく設定されており、

  • 遠隔連携診療料は難病又はてんかんの診断を行うことを目的とすること
  • 患者の同意を得ること
  • ビデオ通話が可能な情報通信機器を用いること(ただの電話ではダメ)
  • 難病の患者に対する医療等に関する法律第5条第 1項に規定する指定難病又はてんかん(外傷性のてんかんを含む。)の疑いがある患者に限ること
  • 患者に対面診療を行っている保険医療機関の医師 が、他の保険医療機関の医師に診療情報の提供を行うこと
  • 連携して診療を行う他の保険医療機関の医師は、厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針に沿って診療を行うこと
  • 当該他の保険医療機関内において診療を行うこと
  • 患者に対面診療を行っている保険医療機関の医師は、当該診療の内容、診療を行った日、診療時間等の要点を診療録に記載すること
  • 当該他の保険医療機関は、「都道府県における地域の実情に応じた難病の医療提供体制の構築について」(平成 29 年4月 14 日健難発 0414 第3号厚生労働省健康局難病対策課 長通知)に規定する難病診療連携拠点病院又は「てんかん地域診療連携体制整備事業の実施について」(平成 27 年5月 28 日障発 0528 第 1 号)に定めるてんかん診療拠点機関であること

上記の様な要件を満たす必要がある。

診療報酬に関しては、「対面による診療を行っている保険医療機関が行うものとし、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。」となっており、今まで行われてた遠隔放射線読影の場合の

『6 遠隔画像診断による画像診断管理加算
(1) 遠隔画像診断を行った場合は、送信側の保険医療機関において撮影料、診断料及び画 像診断管理加算(当該加算の算定要件を満たす場合に限る。)を算定できる。受信側の 保険医療機関における診断等に係る費用については受信側、送信側の医療機関間における相互の合議に委ねるものとする。』

と同様の規定となっているので、遠隔連携診療料に関しては対面側保険医療機関と遠隔側保険医療機関の間であらかじめ診療報酬の取り扱いに関する契約を結んでおく必要がある。

遠隔連携診療料
令和2年度診療報酬改定の概要 (外来医療・かかりつけ機能) 厚生労
働省保険局医療課

最後に

遠隔連携診療料に関して創設されたことは、へき地や諸島部に住む人にとっては非常に有用なことと考えれれますが、現在は「診断」に限定されていること、3ヶ月に1回しか算定できないこと、診療機関間で契約が別途必要なこと等があり使い勝手が非常に良いものとは言えない印象があります。これからどの程度、この診療報酬が請求されるか、今後どの様に要件が変更されるか等に注目して見ていく必要があると思います。

参考資料

令和2年度診療報酬改定の概要 (外来医療・かかりつけ機能)
厚生労働省保険局医療課

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000605491.pdf

D to P with D (患者が医師といる場合のオンライン診療)
オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会 第3回 資料3

https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000495281.pdf


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