これから日本では気温が上がり、雨が多くなってくるにつれて、COVID-19の感染に良い影響を与えるかどうかに関しては研究からはあまり期待できない様です。あくまでの実験室でのデータなのでなんとも言えませんが。
香港大学の研究者らからの報告 ” Stability of SARS-CoV-2 in different environmental conditions”が2020年5月1日にThe Lancet Microbeに掲載された論文です。
①異なる温度でのSARS-CoV-2の安定性の試験では、ウイルスは4℃では非常に安定であるが、熱には敏感で、培養温度を70℃に上昇させると、ウイルスの不活化時間は5分に短縮された。
②次に色々なものの表面での安定性に関しての試験では、約65%の相対湿度で室温(22℃)で印刷用紙やティッシュペーパー、木材や布、ガラスと紙幣、ステンレスとプラスチック、サージカルマスクの表面に放置した場合の安定性を試験している。結果としては、印刷用紙やティッシュペーパーでは3時間後には感染性ウイルスは回収できず、木材や布では2日後には感染性ウイルスは回収できず、ガラスと紙幣では4日目には感染性ウイルスは回収できず、ステンレスとプラスチックでは7日目には感染性ウイルスは回収できずという結果でした。サージカルマスクの外層には7日目にも検出可能なレベルの感染性ウイルスがまだ存在していた。
アメリカのStanding Committee on Emerging Infectious Diseases and 21st Century Health Threatsからの2020年4月7日の報告書についても少し紹介したいと思います。(1)SARS-CoV-2 の温度・湿度に対する生存率、(2)季節的な症例の減少・再発の可能性に関する報告書です。
温暖で湿度の高い季節には症例数が減少する可能性があることを示唆する報告もあるが、「夏」気候の国でも、ウイルスの拡散が急速に進んでいることを考えると、湿度や気温の上昇に伴って症例が減少すると考えるべきではないとのことでした。
参考文献
Yang Pan, Daitao Zhang, Peng Yang, Leo L M Poon, Quanyi Wang. Viral load of SARS-CoV-2 in clinical samples. The Lancet Infectious Diseases, Volume 20, Issue 4, April 2020, Pages 411-412
Kelvin Droegemeier. The National Academies of SCIENCES•ENGINEERING•MEDICINE. April 2020
コロナの時代の僕ら 早川書房
アフターコロナ 見えてきた7つのメガトレンド (日経BPムック) 日経BP
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