一般的な食塩はNaClすなわち、塩化ナトリウムです。このナトリウムをカリウムに変えたKClすなわち塩化カリウムにして使用すると集団全体で見ると死亡を減らせるかもしれないという研究結果が発表されたので紹介したいと思います。
英国のニューサウスウェールズ大学が行なった研究で、中国をフィールドとして罹患率と心血管疾患による死亡に対する任意の塩(食卓上もしくは調理中に使用される)をカリウム強化代替物(20-30%塩化カリウム)で置き換えることの影響を推定することを目的に行われました。中国では、ナトリウム摂取量が高く(平均4.1 g /日、世界保健機関の推奨制限の2倍以上)、35〜75歳の中国人の人口のほぼ半数(45%)が高血圧を持っているとされています。
結果として、代用塩の血圧低下効果は、脳卒中による208,000人および心臓病による175,000人を含む、毎年約460,000人の心血管疾患の死亡を防ぐことができることを発見しました。しかしながら、血中のカリウム濃度が高くなる影響もあり、約11,000人の心血管疾患死が発生しますが、トータルで死亡は今回の研究範囲では減少する様です。
因みに日本でも食塩摂取量は高く、平成 30年国民健康・栄養調査では日本人の食塩摂取量の平均値は 10.1g であり、男女別にみると男性 11.0g、女性 9.3g でした。日本人の食塩摂取量は低下してますが、自然塩の塩化ナトリウム含有量は80%程度、工業生産の食塩は、塩化ナトリウム含有率99%以上、上質塩は、塩化ナトリウム含有率95%以上であることから日本人は中国人よりも塩化ナトリウム摂取量は多いと考えられ、日本でも代用塩の使用は効果があるのではないでしょうか。
しかしながら味は塩化ナトリウムと塩化カリウムでは変わらないのでしょうか?私は使用したことはないですが、味は非常に機になるところです。すでに一般販売もされている様です。
参考文献
Marklund Matti, Singh Gitanjali, Greer Raquel, Cudhea Frederick, Matsushita Kunihiro, Micha Renata et al. Estimated population wide benefits and risks in China of lowering sodium through potassium enriched salt substitution: modelling study BMJ 2020; 369 :m824

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