COVID-19の収束を考えるときによく話に出てくるのが、集団免疫という単語ですが、いまいちこの単語の意味がピンと来ないのでまとめてみました。
ここで大切になってくる単語は「基本再生産数(basic reproduction number:R0)」です。
基本再生産数
ある感染症に感染した1人がその感染症に対して免疫を持たない集団に入った時に、平均して何人に直接感染させるかという人数。
この基本歳生産数の値によって感染症の状態が決まってきます。
- R0 > 1 感染拡大のフェーズ
- R0 < 1 感染は収束に向かう
- R0 = 1 感染は拡大も収束もせずその地域に風土病のように根付く
R0の例
感染症 | 感染経路 | R0 |
麻疹 | 飛沫核感染 | 12–18 |
天然痘 | 飛沫感染 | 5–7 |
ポリオ | 経口感染 | 5–7 |
風疹 | 飛沫感染 | 5–7 |
インフルエンザ | 飛沫感染 | 2程度 |
まだ、COVID-19の基本歳生産数ははっきりわかっていませんが、論文により1.4-2.7と開きがあります。もちろん、R0の値は感染の状況や、国や社会背景によってかわるものなのでなんとも言えませんが。集団内の免疫保持者の割合が(集団免疫閾値)、(R0-1)/R0よりも大きくなれば、「集団免疫」が働くことにより、感染症は収束に向かいます。
急激に感染者が増えて医療崩壊を起こすことは絶対に避けなければいけませんが、ワクチンができるまでは徐々に感染者が出て免疫保持者の割合が徐々に増えていくことが大切です。(ワクチンが完成すれば、感染することなく免疫を持つことが可能になる。)ワクチンができたとしても集団内のどれだけの人にワクチン投与をしなければいけないかを考える必要があります。例えば、R0が10をこえる感染症では,90パーセント以上の人口にワクチンを接種して免疫化しないと集団免疫が働きません。
ワクチンの完成と徐々に感染者が出て広くか免疫を持つ人が広がることが、COVID-19の収束には必要不可欠です。
参考
Li, Qun and Guan, Xuhua and Wu, Peng et al,. Early Transmission Dynamics in Wuhan, China, of Novel Coronavirus-Infected Pneumonia. N Engl J Med. doi:10.1056/NEJMoa2001316
Riou, Julien and Althaus, Christian L. Pattern of early human-to-human transmission of Wuhan 2019 novel coronavirus (2019-nCoV), December 2019 to January 2020. Eurosurveillance25 (4). doi:10.1101/2020.02.07.20021154

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