ヒルドイド(ヘパリン類似物質)に関して

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ヒルドイドに関して

医療用の処方薬であるヒルドイドは血行促進・皮膚保湿剤として処方されます。処方される機会も多く使用している人も多いけれども詳しいことやその使い方や使い分け、スキンケアの際の使用方法に関してはよく知らない人も多いのではないでしょうか?この記事にはその辺りを解説します。

ヒルドイドの効果

保湿効果:ヒルドイドの有効成分であるヘパリン類似物質は、下の図のように硫酸基、カルボキシル基、水酸基など多くの親水基を持ち、水分子を引き寄せ保持することで、吸水・保水作用を示します。また、基剤による被覆効果も保湿作用に寄与します。

血行促進効果:ヒルドイドの有効成分であるヘパリン類似物質には、図のように血液中にある血液凝固促進作用を持つトロンビンに、トロンビンの働きを阻害するアンチトロンビンを結合させやすくすることで、血をかたまりにくくして血流を良くする作用があります。そのため末梢の血行促進効果があります。

抗炎症効果:ヘパリン類似物質がヒアルロニダーゼの働きを抑制すると同時に、局所の血行やリンパ液の流れを促進することなどによるものと言われています。

線維芽細胞増殖抑制効果:線維芽細胞は、普段はコラーゲンやヒアルロン酸を作り出す細胞です。ですが炎症が起きた際には、過剰増殖する事がありコラーゲンが増殖し盛り上がるケロイドという状態を引き起こす事があります。ヘパリン類似物質は、この過剰増殖のみを抑制する働きがあります。

ヒルドイドの種類

ヒルドイドゲル0.3%

ヒルドイドゲル0.3%

ヒルドイドクリーム0.3%

ヒルドイドクリーム0.3%

ヒルドイドソフト軟膏0.3%

ヒルドイドローション0.3%

ヒルドイドフォーム0.3%

の5種類の剤型が存在しています。

有効成分であるヘパリン類似物質の濃度は全ての剤型で同じで、基材と呼ばれるその使用感等を決定するものが違います。

ヒルドイドのジェネリック等

ヒルドイドにはジェネリックの製品(ヘパリン類似物質ほにゃらら)が多数販売されており、ヒルドイドにはない剤型のスプレー型も存在しています。

ex.ヘパリン類似物質外用スプレー0.3%「サトウ」、ヘパリン類似物質外用スプレー0.3%「TCK」

ヒルドイドの市販品

薬局で購入可能なものとしては、医薬部外品の分類となるもののと、第2類医薬品に分類されるものがあります。

医薬部外品:カルテHD、ヒルドプレミアム、ヒルドケア など

第2類医薬品:ヒルメナイドやビーソフテン、ヘパリン類似物質 乳状液「JM」、Saiki、ヒフメイド、IHADA、『HP』、ピアソンHP など

各ヒルドイドの剤型による違い

①クリーム、ソフト軟膏

②ゲル、ローション、フォーム、スプレー、泡状スプレー

にまず大きく分けることができます。
①は基材に油分を多く含み、②は油分が少ないか含まれません。

①クリーム、ソフト軟膏

両者は名前は違いますがジャンルとしては両方ともクリームです。ソフト軟膏とありますがクリームです。クリームには2種類がありそれぞれ違いがあります。

ソフト軟膏は油がメインでその中に水が含まれている油中水型(W/O型)。

クリームは水がメインでその中に油が含まれている水中油型(O/W型)です。

②ゲル、ローション、フォーム、スプレー

ゲル:水溶性のジェルタイプです。油分を含まないため、水分の蒸発を防ぐ作用が弱いです。

ローション:乳液タイプです。油分はほとんど含まないため、水分の蒸発を防ぐ作用が弱いです。

フォーム:筒状のスプレー缶式であり、押すと泡が出てきます。泡を伸ばすと化粧水状となります。
油分を含まないため、水分の蒸発を防ぐ作用が弱いです。泡状スプレーよりきめ細かい泡が出てきます。

スプレー:化粧水状の液体がエアーポンプで出てきます。油分を含まないため、水分の蒸発を防ぐ作用が弱いです。

泡状スプレー:化粧水状の液体がエアーポンプで泡状に出てきます。泡を伸ばすと化粧水状となります。
油分を含まないため、水分の蒸発を防ぐ作用が弱いです。

使い分け

基本的な効果は全て同じです。

剤型により塗り広げやすさや刺激性、ベタつきなどが違うため医師はそれらの観点から処方を変えています。

また保湿を考える上でヒルドイドはモイスチャライザー*1に分類されますが、ソフト軟膏はエモリエント*2としての機能を持つといっていいと思います。クリームもある程度のエモリエントとしての力を持ちますが、そのほかの剤型はエモリエントの効果はありません。

*1モイスチャライザー:皮膚に浸透して水分を蓄える力を持つもの(ヘパリン類似物質、尿素製剤など)

*2エモリエント:水分が皮膚から逃げないように蓋をするもの(ワセリンとなど)

ヒルドイドの使い方

一日数回、保湿したい場所に塗りこむか、ガーゼ等に伸ばして貼付します。ある程度厚めに塗る方が効果的です。眼、傷口には使用できません。また粘膜(口腔、鼻腔、膣など)には塗らないようにしてください。

ヒルドイドの使用量

基本的にはある程度厚めに塗る方が効果的で多めに使用していただくのですが、両手のひらに十分塗れる量を基準とすることが多いです。

クリーム・軟膏タイプの場合

成人の人差し指の先端から第一関節間関節までの長さを押し出した量(0.5g程度)で両手のひらに塗れます。軟膏は少し面積は狭くなります。

ローションタイプの場合

1円玉大の量(0.5g程度)で両手のひらに塗れます。

フォームタイプの場合

製品のキャップ大の大きさに噴出した量が約1gに相当します。両手のひら2回分の量になります。

スプレータイプの場合

1プッシュで両手のひら分くらいの面積に塗ることができます。

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