ちょっと古い論文ですが、面白い論文があったので紹介します。ハーバード大学から出された「Universality and diversity in human song」という論文です。
民族誌的データと取集された音楽を調べた結果の論文です。歌というものは人間社会に置いて普遍的であるだろうということは昔から言われいましたが、それを学術的に証明したものはありませんでした。この論文では、調査と分析から普遍性と多様性に関しての証明を行なっています。
ボーカル音楽の場合は調査されたパフォーマンスの25%以上を特徴付ける3つの側面があることがわかりました。それは、①パフォーマンスの形式性②覚醒水準③宗教性の3つです。これらの要素はボーカル音楽の普遍性を示しています。
また、音楽はすべての社会(言葉の有無にかかわらず)に存在し、社会間よりも多様であり、定期的に行動をサポートし、歌い手とリスナーの目標と応答に体系的に関連する機能を備えている。しかしながら、音楽は単一の生物学的応答ではなく、形式、覚醒、および宗教性が異なる多様な行動のコンテキストで世界中で生成され、音楽は特定の知覚的、認知的、感情的な能力に関連しているらしいということが分かりました。
すなわち、この2つから人間の歌は普遍的な要素を持ちながら多様だということがわかりました。
この論文は自分が専門としている分野ではないので、ちょっと理解しにくいところも多く、文章も非常に読みにくいものになってしまいました。音楽は普遍的な要素を持ちながら、多様というのは感覚的にわかっても科学的に証明するのは難しいことだと思ったのですが、それを証明した論文でした。
文献
Samuel A. Mehr, Manvir Singh4, Dean Knox, et la. Universality and diversity in human song. Science 22 Nov 2019: Vol. 366, Issue 6468, eaax0868. DOI: 10.1126/science.aax0868
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