米国オハイオ州のシンシナティ・チルドレンズ・ホスピタル・メディカルセンターとシンシナティ大学医学部からI型インターフェロン(IFN typeⅠ)は脂肪細胞固有の炎症反応にも関係するとの報告がNature Communicationsにありました。
I型インターフェロンは免疫応答を引き起こすサイトカインとして知られています。今まではI型インターフェロンの主な誘導経路としてはウイルス感染が知られていて、マクロファージ、好中球、樹状細胞から分泌され、免疫反応を引き起こし、感染防御に大きな役割を果たしてることが知られていました。今回の論文ではマウスの実験でI型インターフェロンが脂肪細胞固有の免疫反応を惹起させること(脂肪細胞が免疫細胞様の振る舞いをする)、肥満に関連する代謝異常を悪化させることが示されました。
注)インターフェロンはI型、Ⅱ型、Ⅲ型の3つに分類される。さらに、I型インターフェロンはヒトで発見されていない物を含めて9つ以上に分類される。(IFN-α、IFN-β、IFN-ε、IFN-κ、IFN-ω、IFN-υ等)
肥満は公衆衛生上の大きな問題であり、肥満の悪化のメカニズムの一部がわかったかもしれません。今後の研究によってはこの負のサイクルを打ち破る薬剤が出てくるかもしれませんね。

参照
Chan, C.C., Damen, M.S.M.A., Moreno-Fernandez, M.E. et al. Type I interferon sensing unlocks dormant adipocyte inflammatory potential. Nat Commun11, 2745 (2020). https://doi.org/10.1038/s41467-020-16571-4

参考リンク
John F. Foley. Interfering with interferons. Science Signaling 16 Feb 2016: Vol. 9, Issue 415, pp. ec30 DOI: 10.1126/scisignal.aaf4271
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