イボガインは西アフリカ原産の低木イボガに含まれる向精神薬アルカロイドです。イボガインは低用量では刺激剤として作用するが、高用量では幻覚剤として作用します。歴史的には、西アフリカのさまざまな地域の宗教儀式に使用されていた様です。さらに多量摂取では痙攣、死亡に繋がる様です。
過去にはこの幻覚剤としての作用や多量摂取の面ばかりに焦点があげられ、X-ファイルやCSI:科学捜査班で誤ったイメージで用いられてしまいました。しかし、以前からこのイボガインは物質使用障害の治療に効果があるのではという研究がなされてきました。今までにも、ニュージランドやメキシコを初めとして臨床研究がなされてきました。

今回はDemeRxとATAI Life Sciences AGがアメリカで物質使用障害の中でもアメリカで大問題となっているオピオイドの乱用に対して、オピオイド使用障害の長期治療に対するイボガインの有効性を試験する二重盲検プラセボ対照試験を行うことになりました。アメリカのオピオイド使用障害は非常に大問題となっており、年間7万人が死亡しているとされています。オピオイド使用障害の長期治療特に、オピオイドに対するabstinence(断薬)に対する効果が期待されています。日本では大きな問題とはなっていないオピオイドの使用障害ですが、他の薬剤の使用障害に対する応用も期待されており、いい結果が出ることを期待しています。
参考
Barsuglia JP, Polanco M, Palmer R, Malcolm BJ, Kelmendi B, Calvey T. A case report SPECT study and theoretical rationale for the sequential administration of ibogaine and 5-MeO-DMT in the treatment of alcohol use disorder. Prog Brain Res. 2018;242:121‐158. doi:10.1016/bs.pbr.2018.08.002

Corkery JM. Ibogaine as a treatment for substance misuse: Potential benefits and practical dangers. Prog Brain Res. 2018;242:217‐257. DOI:10.1016/bs.pbr.2018.08.005

Thomas Kingsley Brown & Kenneth Alper (2018) Treatment of opioid use disorder with ibogaine: detoxification and drug use outcomes, The American Journal of Drug and Alcohol Abuse, 44:1, 24-36, DOI: 10.1080/00952990.2017.1320802
Geoffrey E. Noller, Chris M. Frampton & Berra Yazar-Klosinski (2018) Ibogaine treatment outcomes for opioid dependence from a twelve-month follow-up observational study, The American Journal of Drug and Alcohol Abuse, 44:1, 37-46, DOI: 10.1080/00952990.2017.1310218
DemeRx
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