オランダのラドバウド大学医療センターの研究者らから、糖尿病性網膜症と加齢黄斑変性症を検出するための新しいAIアルゴリズムに関する論文が、IEEE Transactions on Medical Imagingに掲載されたので紹介したいと思います。
AIは現在日本でも、つい最近のコロナウイルスの画像診断AIの承認を含めて日本でも承認されているものもありますが、いまいちまだ日本では医師が使いこなしているという状況にはいたっていないと思います。そこには医師のAIに対する不信感(AIの中がブラックボックスの様になっており、仕組みの理解ができないこととが原因の一つにはあるかもしれません。)この、ラドバウド大学医療センターのAIは、眼の病変を識別し、網膜疾患のより包括的なアノテーションを形成するための一つの助けになることは間違いないと思います。
このAIのアルゴリズムは
①眼底写真の撮影
②画像を処理して、専門医に紹介すべきかどうかを提案する
③網膜病変を識別
④病変は、selective inpaintingと呼ばれる技術を用いて、健康な網膜組織に似せて塗りつぶしが行われる
⑤修正された画像は網膜病変を識別
⑥網膜画像が健康なものとしてスコアリングされるまでこの手順が繰り返される
この様なものになっています。
このようにして、最は識別されなかったかもしれない、より程度の軽い、より小さい病変を識別することができる仕組みになっています。
このアルゴリズムの反復的アプローチは、非反復的アプローチより病変を識別可能で、特異度を約10%向上させ、診断精度を約80%向上させることができる様です。
Cristina González-Gonzalo, Bart Liefers, Bram van Ginneken, Clara I. Sánchez. Iterative augmentation of visual evidence for weakly-supervised lesion localization in deep interpretability frameworks. IEEE Transactions on Medical Imaging. DOI 10.1109/TMI.2020.2994463
学ぶ! 究める! 医療AI─ディープラーニングの基礎から研究最前線まで─ (iv-MOOK vol.1)
インナービジョン

60分でわかる! AI医療&ヘルスケア 最前線 技術評論社

コメント