日本の盲導犬の現状
日本では2020年3月31日現在で、909頭の盲導犬が活動しているそうです。しかし、日本の国内の視覚障がい者数は約38万人です。盲導犬普及率(人口100万人あたりの盲導犬ユーザー数)は2013年3月の数字ですが、7.9でありイギリスの79.2、アメリカ35.5等と比較して非常に低い充足率になっています。しかし、盲導犬の数を急に増やすことは現実には難しいです。
デジタル盲導犬
今回紹介するのはそんな現状を改善することができるかもしれないデジタル盲導犬に関して紹介したいと思います。イギリスのラフバラー大学の学生が研究開発を行なっているものです。「Theia」と名付けられたこのシステムは、まだ実験段階ですが今後の発展が期待されます。下の画像がプロトタイプのデジタル盲導犬です。

デジタル盲導犬の詳細
もちろん、このデジタル盲導犬が実際の盲導犬のタスクの全てを行うことはできません。あくまでもその一部を切り出して行う装置です。「1.4m/sで左に曲がれ」の様なコマンドに従い、最適な進路を決定し、個々のコマンドにルートをリードする(引っ張る)ことでユーザーに伝えます。実際にはユーザーを正しい方向に引っ張るジャイロスコープベースの技術が中心です。これは、「リードされる」感覚をユーザーに与えることができ、言語や音などによる指示と違い直感的に利用することができます。多くのバーチャルリアリティコントローラの動作に似ていますが、引っ張る方向は、与えられた経路の容易さと安全性、および目の見えない人にとって重要なその他の事項を考慮したマッピングシステムを使用して決定されています。これは、将来的にもしかするとこのシステムに例えばGoogle mapが対応したりするともっと適切な情報をユーザーに与えるかもしれません。
今後の方向性として、Lidar(光を利用したリモートセンシング技術)とカメラを組み合わせて、Theiaがユーザーの周囲の3次元画像を撮影し状況確認を行いリードする機能の強化が考えらています。また、耐振動や強度の強化等乗り越えなければならないハードルは多くありますが、多くの人に役立つ可能性があるシステムだと思います。今後に期待したいと思います。
参考

盲導犬クイールの一生 (文春文庫) 文藝春秋
2021年 盲導犬寄付金付 「スマイルカレンダー」 株式会社フィールド北海道
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