今回のCOVID-19の流行で日本だけでなく世界中でトイレットペーパーの悲劇的な枯渇問題が生じました。行政機関やメーカー、販売店が買い占を抑制するための情報を流しましたが世界中でトイレットぺーパーが一時的に店頭から消えました。しかしながら、なぜ人々はトイレットペーパーを買いに走ったか、なぜそれはトイレットペーパーだったのかは解明されていません。そんな、トイレットペーパーの備蓄と性格特性に関する論文がスイスのセントガレン大学、ドイツのミュンスター大学、ドイツのマックス・プランク進化人類学研究所から発表されたので紹介したいと思います。
オンラインで世界35か国の1029人の成人が研究に参加し、最終的に22カ国996人の結果から研究がなされました。ヨーロッパ、アメリカ、カナダ以外の居住者はサンプルサイズが小さいため場外された様です(日本も入っていません)。調査項目は「HEXACOモデルとCOVID-19の脅威とトイレットペーパーの備蓄」でした。結果は、COVID-19により脅威を感じた人々がより多くのトイレットペーパーを備蓄した可能性があることを示唆しています。さらに、より強く脅威を感じた人ほど多くのトイレットペーパーを備蓄したことがわかりました。HEXACOモデルのパーソナリティ記述子のうち良心の高い人はよりトイレットペーパーの備蓄に関連していたため、良心の高い個人ほど多くのトイレットペーパーを備蓄する傾向がありました。さらに高齢者は若い人よりもトイレットペーパーを多く備蓄し、アメリカ人はヨーロッパ人より多く備蓄する傾向も認めました。
しかし、今回の研究では性格特性は、消費者の行動パターンの変動性の12%しかカバーしておらず他の多くの要因があることが示されています。
日本ではオイルショックの時にも見られたトイレットペーパーの買い占めですが、そこの裏には様々な要因が隠れていることが明らかになりました。
参考
Lisa Garbe, Richard Rau, Theo Toppe, Influence of perceived threat of Covid-19 and HEXACO personality traits on toilet paper stockpiling. PLOS ONE Published: June 12, 2020 https://doi.org/10.1371/journal.pone.0234232
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