今更ながらのAppleWatchに関して

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はじめに

6/20の記事で「5月25日付でアップル社が医療機器外国製造業として認定された」ことに関して少し触れていましたが、いよいよ日本でもAppleWatchで「心電図」と「 不規則な心拍の通知」に関して使用可能になりそうです。他の国の認可状況はわからないですが、現在は37の国と地域で使用が可能であったので世界で38番目になると思います。

PMDAの承認に関して

Apple社がPMDAに医療機器製造販売承認を申請していた「家庭用心電計プログラム」と「家庭用心拍数モニタプログラム」を2020年9月4日付で承認されました。

2014年に薬事法が改正されて、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医機法)となったことで、それまでの薬事法とは異なり、単体プログラムについて、医療機器として製造販売の承認・認証等の対象とすることを定められました。それによって、汎用PC等にインストールすることで、医療機器としての性能を発揮する診断・治療を目的とした単体ソフトウェアの流通を認められました。今までも、医家用のプログラムの承認はありましたが、非医家用のプログラムがPMDAに承認されたのは初だと思います。

以前にも書いた様に、日本でウエアラブルが普及していくことは素晴らしいことであり、その第一歩が踏み出されたことは素晴らしいと思いますが、その家庭用心電計プログラムや家庭用心拍数モニタプログラムの精度はどうなのでしょうか。もちろん、PMDAが承認したということは、精度的には問題ないと思いますが、その辺りに関する研究論文(Apple Heart Study)が2019年にThe New England Journal of Medicineに発表されているので、今更ながら紹介したいと思います。

今更ながら1年前の論文を読む

この論文ではApple社が資金提供を行なった前向きオープンラベル試験であるApple Heart Studyの結果報告がされています。おそらく「家庭用心拍数モニタプログラム」に当たる「smartwatch-based irregular pulse notification algorithm」を用いて心房細動を発見することができるかを見ています。

研究の主目的は、「smartwatch-based irregular pulse notification algorithm」で心房細動が感知された参加者が心電図パッチで心房細動(30秒以上)が記録される頻度です。

試験は2017年11月〜2018年8月まで行われて、参加者は、22歳以上のアメリカ在住で、心房細動のある人や抗凝固薬使用中の人は除外されています。最終的な参加者はなんと、419,297 人でした。

モニタリング期間の中央値は117日間で、2161人の参加者(0.52%)が不整脈の通知を受けました。通知を受けた参加者には、7日間装着できる心電図パッチが参加者に送られて、遠隔モニタリングが開始されます。最終的に解析可能であったのは、450人でした。心房細動の検出率は34%(97.5% CI:29-39)でした。正の予測値は、その後の不整脈通知と同時に心電図上で心房細動を観察する場合は0.84(95%CI:0.76~0.92)であり、その後の不整脈通知と同時に心電図上でタコグラムを観察する場合は0.71(97.5%CI:0.69~0.74)でした。負の予測値に関しては書かれていません。重大な有害事象は認められなかったとのことです。

結論として不整脈の通知を受ける確率は低く、不整脈の通知を受けた参加者のうち、34%がその後の心電図パッチの読影で心房細動があり、通知の84%が心房細動と一致していました。

最後に

この結果をみて思うことは、偽陽性率が16%であれは十分役に立つものではあるのではないかと思います。しかし、気になるのはこの研究では偽陰性がどの程度あるかわからないことです。今後研究がなされたり、アルゴリズムの改良が進めばさらに役に立つものになると思います。私は、AppleWatchを持っていないですが、「家庭用心電計プログラム」と「家庭用心拍数モニタプログラム」が使える様になれば日本でも買ってもいいかなと思いました。常時モニタリングしないと意味がないと思うので、どのくらい、充電の減りが早くなるのかは気になるところですが。

参照

watchOSで利用できる機能

watchOS - 利用できる機能
watchOS には、Apple Watchを健康的な毎日を過ごすための究極のデバイスにする機能がたくさんそろっています。あなたの地域や言語で利用できる機能を一覧で確認できます。

Perez MV, Mahaffey KW, Hedlin H, et al. Large-Scale Assessment of a Smartwatch to Identify Atrial Fibrillation. N Engl J Med 2019; 381:1909-1917 DOI: 10.1056/NEJMoa1901183

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