はじめに
HALと聞いて多くの人が、CMを行なっていることから「学校法人・専門学校HAL」を思い出す人が多いのではないでしょうか。今回紹介するのは、それではなく、CYBERDYNE株式会社の「HAL(Hybrid Assistive Limb)」である。
HALとは?
HALは、CYBERDYNE株式会社のweb siteを見ると、
人が体を動かそうとすると、その運動意思に従って脳から神経を通じて筋肉に信号が伝わり、その際、微弱な「生体電位信号」が体表に漏れ出してきます。HAL®は、装着者の「生体電位信号」を皮膚に貼ったセンサーで検出し、意思に従った動作を実現します。
https://www.cyberdyne.jp/products/HAL/
とのことだが、2015年にHALが初めて承認された時はかなり医療業界でも話題になった記憶がある。まさに、未来がやってきたといった感じである。
2015年11月25日、厚生労働省は緩徐進行性の神経・筋疾患患者を対象として、HAL医療用下肢タイプを間欠的に装着し、生体電位信号に基づき下肢の動きを助けつつ歩行運動を繰り返すことで、歩行機能を改善することを目的として使用するとして製造販売承認を出しました。適応疾患としては、【1】脊髄性筋萎縮症(SMA)・【2】球脊髄性筋萎縮症(SBMA)・【3】筋萎縮性側索硬化症(ALS)・【4】シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)・【5】遠位型ミオパチー・【6】封入体筋炎(IBM)・【7】先天性ミオパチー・【8】筋ジストロフィーが認められた。
さらに、2016年1月には、厚生労働省中央社会保険医療協議会によって「HAL 医療用 下肢タイプ」の保険適用が決定されました。(歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)(1日につき)900点)で2016年9月2日より医療保険適用が始まりました。

HALの現状
その後も、日本国外での展開(米国、ポーランド、サウジアラビア等)や、2020年にはHAL医療用「単関節タイプ」の製造販売承認、保険適応もなされている。そして、Web界隈や、テクノロジー界隈ではかなりの数の記事も書かれているし、知られている感じはするが、医療業界からの注目度はいまいち低い感じが否めない。CYBERDYNE株式会社は間違いなく日本のサイバニックシステムではトップ企業だと思うのだが。これはどういった理由からだろうか。
一つは、情報の出し方の問題があるかもしれない。医師はやはり、客観的なデータを見たいとWeb siteを見ても学術情報の提供は無いように見受けられる。また、Web site もかなり古い感じがして見にくいい印象も否めない。PRtimesを使い始めたのも2020年からのようである。
私としては、HAL 医療用「下肢タイプ」もHAL医療用「単関節タイプ」も現在の医療にかなり貢献ができて、多くの患者を救う可能性があるものであると思う。施設基準等なかなか厳しいところもあるのかもしれないが、是非もっと、医療界での認知が上がって欲しいと思う。
参考
CYBERDYNE web site

ロボット–それは人類の敵か、味方か――日本復活のカギを握る、ロボティクスのすべて
ダイヤモンド社

J.of CLINICAL REHABILITATION(クリニカルリハビリテーション)ここまで来た ロボットリハビリテーション 2020年9月号 29巻10号 医歯薬出版
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